連作小説集 "Deistic Paper" の作品世界は、まず、並行宇宙です。ある次元での蒸発者にまつわる物語や、とある次元での、組織を持って対立する二人の男と、その間で引き裂かれる一人の女による物語があり、さらにそれらのすべてを律する、デモーニッシュな技術が横たわっています。その次元において、一夜にして出現した '超高層建造物' という重ねられた別次元が、主な舞台となりますが、そこには、男たちしかいません。そして、個性の獲得が、その者の存在自体の消滅に繋がります。彼らは凍りついた図書階層にて編纂される神話を元に自分たちが住む世界に納得しようとし、片や謎を解こうとします。どうやらこの建造物には創造主がいるらしい。他方、幾らかの者たちは最上階を目指します。無限のごとき教室階層で学生たちは毎日演劇を行い、さらに地下では……。​

 

このページでは、全64作品から16篇の、主に登場人物の（数少ない）台詞を軸とした文章を抜き出します。これは、あらかじめ魔に落とし込まれた者たちと、自ら魔を選んだ者たちとの衝突がもたらした、大きな悪夢です。