Garbled
MAGAZINE TITLE
『Garbled』について
連作小説集『Garbled』は, 6つの小説によって構成されています.
世界は繋がりあっていますが, 時系列は必ずしも直線ではなく, それぞれ主人公も違い, 1つの小説で1つの話は完結しています.
全貌は, 相当に不明瞭です.
登場人物たちもまた手探りで状況と向かいあいます. 描かれる物語の背景には, それ以前に起こったであろう別の物語が幾つか潜んでいて, そこでは確かな不快と, それを打ち破ろうとする希望があります.
小説では意図的に文字化けが施されています
ダストな世界で
ダストなことが起こり
ダストな結果だった
としても、
Garbled
'不明瞭な'
6部作
2009-2017
STERLING SILVER
2009
LOST DEITY
2013
break bounds
2014
overcome the nemesis
2014
A Nightmare on Fictions
2011
Chaote Disannulleth
2017
作品世界は, 過去に作られた小説にプロトタイプがあります.
1998年「グレイトフル・グレイトフル・デッド」
1998年「vinyl sexual」
2001年「INDUSTRIAL-IDENTIFY」
2001年「ii(イィ)」
とくに, 2006-2009年の「H.I.I.K.」
ランダムな文字列を用いた制作は, 2001年の「遺体、その下に、愛」から始められました. この『Garbled』では, 拾われた文字化け文以外に, 前作を文字化けさせてカンバスとする手法が主に使用されています.
ランダムな文字列を作中に用いる手法は, ウリポの創始者の一人, レーモン・クノーが述べていた着想と, 偶然ながらもほぼ同じです. いわく, インスピレーションの自由のためにこそ, あらかじめ形式を定める.
丁寧に構築された文体や物語の破壊, その残照が流れていく光景というエクリチュールのためのテクストを存在させる意図を持って, ランダムな文字列の内部にそれらが注ぎ込まれる必然がありました.
不明瞭な世界が, アンフラマンスな形式のもとで, 浮かび上がること.
『Garbled』はそのような実験です.
「Chaote Disannulleth」の内容紹介
煌々と空に月が四つ並ぶ世界では, ある夜, 火柱とともに天高く伸びる超高層建造物が一夜にして現れ, この世界は滅びると噂されるようになり, とある姉妹とオワフ島帰りの男が長引いた青春を送っている.
片や, まさに滅びようとしている, 月と太陽が二つずつ浮かぶ世界では, 飽くなき創造を続ける作家のもとに, 複雑な背景を持つ混沌魔術のプレイヤーが訪れる.